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船祭     写真と文:山本俊一

boat festivals
photos & text Yamamoto Shunichi




Brest 92

"海のミッレミリア"。 豪快なクラシックボート・
ミーティングこそ海洋国の心意気だぜ。
自由で多様で身近なセイリングが最高だ。

Complet(コンプレ、満室)! 7月11日から18日まで、フランスのブルターニュ
半島先端の軍港ブレストと漁師町ドアルナネ、および近郊のホテル、民宿
にはこの札が溢れた。

史上最大のクラシックボート・ミーティング、ブレスト92のおかげで、キャンプ場
はもちろん、学校の寄宿舎、体育館、教室まで超満員。

いくらフランスの夏は夜10時半まで明るいからといっても、連日連夜、深夜の
2時すぎまで、クラシックボートレガッタ、船のコンクール、300の舟唄民俗音楽
コンサート、計200時間の海洋映画上映などが広い港の中で延々と続く。

ノルウェー船の泊地では鰊(にしん)の燻製製作実演、埠頭沿いにはカフェや
ビアガーデン、スープ・ド・ポワソン(魚スープ)、トン(鮪、まぐろ)のステーキ、
生牡蠣などのレストランが並び、綿菓子屋が屋台を出し、どこからともなく
舟唄の斉唱が始まる。

とてもじゃないが全部のフネ、全部の催しを見ることなど不可能だ。 練習船
などのトールシップもいるが、大多数は個人所有のため小さいフネが多く、
船型、帆装もさまざまでクラシック好きにはたまらない。

半数ほどはヨット、つまり遊びやレース用のフネだが、鰯(いわし)や鮪(まぐろ)、
鰹(かつお)の元漁船、海藻運搬船などのワークボートが多いのもますます
たまらない。

しかしこの催しをいちばん楽しんでいたのは多数のプレスでも膨大な観客
でもなく、フネと共に参加したセイラーだったことはまちがいない。 セイリング
は見物したり批評したりするよりも、自分で風を受け、潮をかぶって楽しむの
がいちばんなのだ。

腰が強くて転覆しにくく、操船も比較的容易なクラシックボートは体育会系
でなく、むしろ帆走初心者の老若男女にこそふさわしい。 セイリングとは
そもそも、限られた選手や学生だけのスポーツではなく、いろいろな楽しみ方
のできる"大人"の遊びなのである。

自家用車を買えるほどの人なら、とても魅力的な木造クラシックタイプの新艇
を手に入れることができるのだが、われわれの場合、保管や運搬にまず頭を
悩ませなければならないようでは、海洋国はおろか、生活大国にも未だ遠し
といったところだ。

( 写真 1 )
このとんでもない催しの仕掛人はクラシックボートと地方民俗の2冊の専門
雑誌しか出していないドアルナネの小出版社とブレスト市、仏海軍

( 写真 2 )
ブレストとドアルナネ間の大レースは一日がかり

( 写真 3 )
ブレスト92に集まったのはヨーロッパ中心の25カ国から2200杯ものクラシック
ボート、1万5000人のヨット乗り、1500人のミュージシャン、400の帆船関係
出展者、1015人の報道陣、計150万人の見物人


Mille Miglia on the sea - Brest 92

Playboy (Japan)          November 1992

Mille Miglia on the sea - Brest 92
photos & text Yamamoto Shunichi







Fete des Vieux Greements


オールドボート再発見
仏の「オールドボート・フェスティバル」で1800年代にタイムスリップ

古い木造の船体に木造マスト、ガフリグのキャンバスセイルにマニラロープ
・ ・ ・ ・ ・ オールドボートにシャレたユニフォーム姿のセイラーが乗り、港の
なかを縦横無尽に走りまわる ・ ・ ・ ・ ・

フランスのブルターニュ半島の南岸にある古い港町、ラ・トリニテ・シュル・
メールで毎年開催される「オールドボート・フェスティバル」は、潮っ気いっぱい
の楽しいお祭りだ。

このイベントは地元の環境保護団体が主催するといった、ちょっと変わった
催しで、クルージングや櫓(ろ)漕ぎレース、民俗舞踊のコンテストや水泳
大会など、フェスティバルの開催期間中は街をあげてのお祭り騒ぎがつづく。

ラ・トリニテ・シュル・メールは18世紀頃から多くの帆船が往来した天然の良港
で、1879年にはラ・トリニテ・シュル・メールYCも設立され、現在は1000隻を
こえるヨットが舫われている歴史のある港町だ。

このフェスティバルのメインイベントは"コンクール・ド・エレガンス"と呼ばれる
コンテストで、フネとクルーの優雅さ、操船技術を競うもので、地元フランス勢
をはじめ、イギリス、ドイツなどから集まったオールドボートが100隻ちかくも
参加するたいへん賑やかなもの。

写真右下は、世界的に有名なエリック・タバルリが舵を握る大型ヨットだが、
大小さまざまな帆船が港のなかを走りまわる様はまさに壮観。

ラグリグやガフリグなど、古き良き時代の面影を残したフネに、オールドボート
の素晴らしさを再発見した。


Rediscover old boats - Eric Tabarly/Pen Duick

Yachting (Japan)          July 1990

Rediscover old boats - time slip to the 19th century
Eric Tabarly/Pen Duick
photos & text Yamamoto Shunichi







Sailing nostalgia


走るノスタルジア
なぜかいまオールドボートが流行

ヨーロッパに帆走可能のクラシックボートは数多いが、レースやクルージング
用のいわゆる金持ちのヨットでなく、漁船や海草運搬船などのワークボート
として活躍していた旧式小型帆船を見直す動きがフランスの若者を中心に
始まって久しい。

たとえば大西洋に突き出したブルターニュ半島には21もの海洋関係の博物館
があるが、小さな漁師町ドアルナネでは旧式船好きの若者たちがワークボート
主体の船の博物館を開き、立派な隔月刊誌まで発行するようになってしまった。
そして2年前に行われたドアルナネ88というミーティングでは欧州各国から800隻
以上の旧式帆船が集まり、湾内は夥しい古いセイルで蔽い尽くされたという。

彼等は各人の財布に応じて出資し、あるいは体力で奉仕し眠っていたフネを
修復して、生きた歴史を勉強しながら野蛮で原始的で自由な帆走を楽しむ。

写真はやはりブルターニュのラ・トリニテ・シュル・メールで開催された70艇
参加の旧式帆装フェスティバルでの"シナゴ"と呼ばれる地元の沿岸用ラグリグ
スクーナー。 ウインチなどという洒落たものは付いていないが力まかせに
マニラロープを引っ張り、見かけよりはずっと速い。

しかしどうもここいらでこの手のフネの再生が盛んなのは、海に囲まれている
というだけでなく、昔は貧しく質実剛健で、ごつい筋者も多かったブルターニュ
の土地柄のゆえか。


Fete des Vieux Greements, La Trinite sur Mer

Sports Graphic Number (Japan)          May 20, 1990

Sailing nostalgia
Fete des Vieux Greements, La Trinite sur Mer
photo & text Yamamoto Shunichi



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